懸垂で肘が痛い・肩が痛い時の原因と科学的対処法【すぐ実践できる】
「懸垂をすると肘の内側が痛い…」「肩に違和感があって動かしづらい…」そんな悩みを抱えていませんか?
懸垂は効果的なトレーニングですが、間違ったフォームや準備不足で痛みを引き起こすことがあります。この記事では、英国の研究機関が発表した科学的根拠に基づいて、懸垂による肘と肩の痛みの原因と具体的な対処法を解説します。
懸垂で肘が痛くなる主な原因


ごり男先生、懸垂を始めてから肘の内側がズキズキ痛むようになったウキ…これって普通ウキ?トレーニングを続けても大丈夫ウキ?







それは要注意のサインウホ!肘の痛みは『ゴルフ肘(内側上顆炎)』や『テニス肘(外側上顆炎)』の可能性が高いウホ。無理に続けると悪化して、数ヶ月も痛みが続くこともあるウホ。原因をしっかり理解して、正しく対処することが大切ウホ!
1. 前腕筋の柔軟性不足と筋力不足
Built with Scienceの研究レビューによると、複数の研究で前腕の伸筋群(手首を反らす筋肉)の筋力不足が肘痛の主要な原因であることが一貫して示されています。特に「反復的な握る動作」が痛みを引き起こすきっかけになることが研究で指摘されています。
肘痛を引き起こすメカニズム:
- 前腕の屈筋と伸筋のバランスが崩れる
- 握力が弱いと過度に前腕筋に負担がかかる
- 筋肉と骨をつなぐ腱に炎症が発生
- 慢性化すると腱が変性し治りにくくなる
2. ゴルフ肘(内側上顆炎)
肘の内側に痛みが出る症状で、懸垂で最も多い肘の障害です。
主な症状:
- 肘の内側を押すと痛い
- 物を握ると痛みが走る
- 逆手懸垂(チンアップ)で特に痛みが強い
- ペットボトルの蓋を開けると痛む
原因: 手首や肘を酷使することで、前腕の屈筋群の腱が付着する内側上顆に過度な負担がかかり、炎症が起こります。
3. テニス肘(外側上顆炎)
肘の外側に痛みが出る症状です。
主な症状:
- 肘の外側を押すと痛い
- 手首を反らす動作で痛む
- 順手懸垂で特に痛みが強い
- マウス操作やキーボード入力で痛む
原因: 手首を伸ばす筋肉(伸筋群)の過度な使用により、外側上顆に炎症が発生します。
4. 肩甲骨と肩の安定性不足
Built with Scienceの症例研究では、片側の肘痛を訴える患者が中部および下部僧帽筋の筋力不足を示し、この筋力不足により肩甲骨の位置がずれていたことが報告されています。興味深いことに、このずれた肩甲骨は痛みのある肘と同じ側にありました。
肩の不安定性と肘痛の関連:
- 肩甲骨周りの筋肉が弱いと肩が不安定になる
- 肩の不安定性を補うため肘周りの筋肉が過剰に働く
- 結果として肘の筋肉が酷使され痛みが発生
- 肩と肩甲骨の不安定性と肘痛には強い関連性がある
懸垂で肩が痛くなる主な原因







肘だけじゃなくて、肩も引っかかるような感じがして痛いウキ…これも懸垂が原因ウキ?







その症状は『肩インピンジメント症候群』の可能性が高いウホ!これは懸垂で非常によく見られる肩の問題なんだウホ。正しいフォームと準備運動で予防できるウホ!
1. 肩インピンジメント症候群
英国のExecutive Physiotherapyの専門家によると、懸垂中の肩痛の最も一般的な原因は肩インピンジメントです。これは肩甲骨の骨の下で回旋筋腱と肩峰下滑液包が圧迫される状態を指します。
主な症状:
- 腕を上げると肩が痛い
- 懸垂の最初の引き上げ時に痛みが強い
- 肩を広げる動作で痛む
- 衣服の着脱時に支障がある
- 横向きで寝ると痛くなる
発生メカニズム: 肩関節は球関節で、安定性よりも可動性を優先した構造になっています。回旋筋腱群(ローテーターカフ)が肩の安定性を保つ重要な役割を担っていますが、これらの筋肉が弱いと問題が発生します。
2. 肩甲骨の運動異常(スキャプラ・ディスキネシス)
英国のラフバラ大学などが実施した研究(2016年発表)では、11名の参加者(平均年齢26.8歳、BMI 22.2)を対象に、3種類の懸垂技術における肩甲骨の運動学を分析しました。この研究では、肩甲骨の開始位置が後続の肩甲骨の回転を決定する上で重要である可能性が示唆されています。
研究が示唆する重要なポイント:
- 懸垂開始時の肩の姿勢が怪我予防の鍵となる
- 肩甲骨を正しい位置にセットすることが重要
- 間違った肩甲骨の位置は痛みや怪我につながる
肩甲骨周りの筋肉の役割:
- 僧帽筋:肩甲骨の位置を決定
- 前鋸筋:肩甲骨を安定させる
- 菱形筋:肩甲骨を内側に引き寄せる
- 小胸筋:肩甲骨の動きに関与
これらの筋肉が適切に機能しないと、肩甲骨の位置がずれ、肩関節ソケットの位置も変わってしまいます。
3. 回旋筋腱群(ローテーターカフ)の筋力不足
懸垂中の肩痛に関連する要因:
- 回旋筋腱群の筋力不足または活性化不良
- 肩甲骨周りの筋肉の協調性不足
- 肩の可動域制限
- 不適切な懸垂フォーム
- オーバートレーニング
4. 前方に出た肩の位置
トロントのRebuild Physiotherapyの理学療法士によると、懸垂中のほとんどの肩の怪我の原因は、エクササイズを行う際の前方肩位置にあると指摘されています。
前方肩位置の問題:
- 肩が前に出ると回旋筋腱が圧迫される
- 肩甲骨が適切に動かない
- 背中の筋肉が効果的に使えない
- 肩関節に過度なストレスがかかる
痛みを予防・改善する科学的対処法









痛みが出たら、まずは適切な休息と正しい対処が必要ウホ!でも完全に休むだけじゃなくて、原因を治す積極的なアプローチも大切ウホ!科学的に証明された方法を紹介するウホ!
肘痛への対処法
1. 前腕筋の強化エクササイズ
Built with Scienceが推奨する具体的なエクササイズ:
外側の肘痛(テニス肘)の場合:
- リストエクステンション:3セット×10回
- 手首を反らす動作で伸筋群を強化
内側の肘痛(ゴルフ肘)の場合:
- リストカール:3セット×10回
- 手首を曲げる動作で屈筋群を強化
両方に効果的:
- スーツケースキャリー:3セット×30秒ずつ片側
- 重いダンベルやケトルベルを持って歩く
- 握力と前腕全体を強化
2. 肩甲骨の安定性強化
スキャプラプルアップ:
- バーにぶら下がった状態から肘を曲げずに肩甲骨だけを動かす
- 肩甲骨を引き下げて内側に寄せる動作
- 3セット×10回
- 僧帽筋を強化し肩の安定性を向上
外旋エクササイズ:
- ゴムバンドやケーブルを使用
- 肘を90度に曲げて体側につけ、前腕を外側に回転
- 3セット×5-10回
- 回旋筋腱群を強化
3. グリップとフォームの調整
痛み軽減のためのグリップ変更:
- ニュートラルグリップ(手のひらが向き合う)を使用
- ハンマーカール、ニュートラルグリッププレス、ニュートラルグリップロウなど
- 肘への負担を大幅に軽減
テニス肘の場合の特別な対処: 順手(オーバーハンド)グリップを避け、逆手(アンダーハンド)グリップに変更することで、腕橈骨筋に負担をかけずに広背筋を鍛えることができます。
4. パワーグリップやリストストラップの活用
効果:
- 握る力を手首に分散
- 前腕への直接的な負担を軽減
- 腱への二重の負荷を防ぐ
- 手のひらの痛みも軽減
肩痛への対処法
1. 肩の可動域テスト
マサチューセッツ州ハドソンのCressey Sports Performanceが推奨する簡単なテスト:
オーバーヘッドモビリティテスト:
- 床に仰向けに寝る
- 腰を平らに保つ
- 腕を真っ直ぐ伸ばして頭上に持っていく
- 肘を曲げずに腕を伸ばしたまま
- 第2指が快適に床に触れるべき
このテストができない場合、懸垂を行うのに十分な可動域がありません。
2. 肩甲骨のリトラクション&ディプレッション
トロントのRebuild Physiotherapyが推奨する基本エクササイズ:
実践方法:
- バーにぶら下がる
- 肘をわずかに曲げて上腕二頭筋を活性化
- 肩を内側と下方に引く
- この位置を3秒間保持
- 3セット繰り返す
効果:
- 中部および下部僧帽筋を動員
- 懸垂中の肩の安定化
- すべての懸垂バリエーションでこの肩甲骨位置を維持
3. ネガティブプルアップ
実践方法:
- ベンチから飛び乗り、顎がバーの上にある状態でスタート
- 肩甲骨をわずかに内側と下方に保つ
- ゆっくりと体を下ろす(5-10秒かけて)
- 3-5回×3セット
効果:
- 回旋筋腱群を強化
- 懸垂の求心性と遠心性の両方を鍛える
- 肩の安定性向上
4. 段階的な負荷調整
レジスタンスバンドを使用したアシスト懸垂:
- バーにバンドをかける
- 膝にバンドを通す(足より安全で安定)
- 各レップで肩甲骨を下方・内側に引く
- 体幹と臀筋を締めて安定させる
色別バンドの使用:
- 緑:最も厚く、最大のサポート
- 赤:最も薄く、最小のサポート
- 徐々に薄いバンドに移行
5. 正しい懸垂フォームの習得
重要なポイント:
- 胸を張った状態を維持
- 懸垂動作中、肩甲骨を寄せる
- 肩を後ろに保つ
- 自分の限界を知り、筋肉を過度に緊張させない
- 肘を真下に引く
- 体幹を常に活性化







痛みがある時は無理に続けないことが鉄則ウホ!でも完全に休むだけじゃなくて、原因となる筋力不足や柔軟性不足を改善するリハビリエクササイズを取り入れるウホ。2-4週間かけて段階的に進めていくのが科学的に正しい方法ウホ!
すぐに実践できる痛み軽減プログラム


第1週:休息と基礎強化
実施内容:
- 痛みを引き起こす懸垂は完全に休止
- アイシング:痛む部位に1日2-3回、15-20分
- 前腕筋のストレッチ:1日3回
- リストカール・エクステンション:軽い重量で開始
- 肩甲骨のリトラクション練習:バーにぶら下がらず壁を使って
第2-3週:段階的な負荷導入
実施内容:
- スキャプラプルアップ:3セット×5-10回
- アシスト懸垂(最大サポート):3セット×3-5回
- ネガティブプルアップ:3セット×3回
- 前腕筋強化を継続:重量を徐々に増加
- 肩の可動域エクササイズ
第4週以降:通常トレーニングへの復帰
実施内容:
- アシスト懸垂(サポート減少):3セット×5-8回
- 通常の懸垂:限界まで×1-2セット
- フォームを常に意識
- 痛みが再発したら immediately 前の段階に戻る
予防のための日常習慣
トレーニング前:
- 5-10分の軽い有酸素運動
- 肩と肘の動的ストレッチ
- 肩甲骨の活性化エクササイズ
トレーニング後:
- クールダウンストレッチ
- 前腕筋のマッサージ
- 必要に応じてアイシング
医療機関を受診すべきタイミング







どのくらい痛かったら病院に行くべきウキ?自分で治せるものなのかウキ?







以下の症状がある場合は、すぐに整形外科を受診するウホ!自己判断で無理に続けると、数ヶ月〜1年以上治らなくなることもあるウホ!
すぐに受診すべき症状:
- 2週間以上休息しても痛みが改善しない
- 日常生活動作(ペットボトルを開ける、ドアノブを回すなど)で強い痛みがある
- 夜間に痛みで目が覚める
- 肘や肩が腫れている
- 肘が伸びない、肩が上がらないなどの可動域制限
- しびれや感覚異常がある
医療機関での検査:
- X線検査
- MRI検査
- 超音波検査
- 理学療法士による動作分析
まとめ:痛みのない懸垂を実現するために
懸垂による肘と肩の痛みは、適切な知識と対処法で予防・改善が可能です。科学的研究に基づいた正しいアプローチを実践しましょう。
重要ポイントのおさらい:
- 肘痛の主な原因
- 前腕筋の柔軟性不足と筋力不足
- ゴルフ肘・テニス肘
- 肩甲骨の不安定性からの代償
- 肩痛の主な原因
- 肩インピンジメント症候群
- 肩甲骨の運動異常
- 回旋筋腱群の筋力不足
- 前方に出た肩の位置
- 科学的に証明された対処法
- 前腕筋の強化(リストカール・エクステンション)
- 肩甲骨の安定性強化(スキャプラプルアップ)
- グリップの調整(ニュートラルグリップの活用)
- 段階的なリハビリプログラム
- 予防のための習慣
- 適切なウォームアップ
- 正しいフォームの習得
- オーバートレーニングの回避
- 十分な休息と回復







痛みは体からの重要なサインウホ!無視して続けると、長期間トレーニングできなくなることもあるウホ。英国の研究機関やアメリカの理学療法士が推奨する科学的方法で、正しく対処することが大切ウホ。焦らず段階的に進めて、痛みのない効果的な懸垂を目指すウホ!





よく分かったウキ!まずは前腕筋の強化と肩甲骨の安定性エクササイズから始めて、正しいフォームを身につけるウキ!痛みが出たらすぐに休んで、リハビリプログラムに取り組むウキ!
痛みのない懸垂を実現することで、長期的に効果的なトレーニングを続けることができます。この記事で学んだ科学的知識を活かして、安全で効果的な体づくりを進めていきましょう。
参考文献
- Snodgrass SJ, et al. (2016). “Scapula kinematics of pull-up techniques: Avoiding impingement risk with training changes.” Journal of Science and Medicine in Sport, 19(8): 629-635. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4916995/
- Built with Science. (2022). “What’s Up With Your Elbow Pain (And How To Fix It).” Evidence-based fitness research review. https://builtwithscience.com/fitness-tips/elbow-pain/
- Executive Physiotherapy UK. “Shoulder Pain and Pull Ups: It’s All In The Prep.” Clinical physiotherapy guidelines. https://executivephysiotherapy.co.uk/blog/pathology/shoulder-pain-and-pull-ups-its-all-prep/
- Rebuild Physiotherapy Toronto. (2024). “Shoulder Pain After Pull Ups: Progressive Rehabilitation Protocol.” https://rebuildphysiotherapy.com/shoulder-pain-after-pull-ups/
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