懸垂はどこの筋肉に効く?部位別の効果と正しいトレーニング法を科学的根拠に基づいて解説
「懸垂って実際にどこの筋肉が鍛えられるの?」「背中に効いてる感じがしないんだけど…」そんな疑問を抱えていませんか?
懸垂は自重トレーニングの王様と呼ばれるほど効果的なエクササイズですが、正しく理解していないと効果を最大限に引き出すことができません。この記事では、最新の科学研究に基づいて、懸垂で鍛えられる筋肉と効果的なトレーニング方法を初心者にも分かりやすく解説します。
懸垂はどこの筋肉に効く?鍛えられる主要な筋肉部位


ゴリラ先生、懸垂って背中の筋肉を鍛えるトレーニングですよねウキ?でもどの部分が鍛えられているのか実はよく分からないウキ…









いい質問ウホ!懸垂は背中だけじゃなくて、実は上半身の多くの筋肉を同時に鍛えられる超効率的なトレーニングなんだウホ!一つずつ詳しく説明していくウホ!
1. 広背筋(ラティシムス・ドーシー)- メインターゲット
懸垂で最も強く鍛えられるのが広背筋です。メイヨークリニックの理学療法プログラムに所属するYoudas博士らが2010年に実施した研究では、男性21名(平均24.9歳)と女性4名(平均23.5歳)の計25名を対象に筋電図測定を行った結果、懸垂中の広背筋の活性化レベルは最大随意等尺性収縮の117-130%に達することが明らかになりました。これは非常に高い筋活動を意味します。
広背筋の役割:
- 背中の幅を作る最も重要な筋肉
- 腕を上から下に引く動作の主動筋
- 逆三角形の体型を作る鍵となる部位
効果:
- 背中の幅の増加
- 引く力の向上
- 姿勢改善効果
2. 上腕二頭筋(バイセップス)- 強力な補助筋
同じメイヨークリニックの研究によると、上腕二頭筋の活性化レベルは最大随意等尺性収縮の78-96%に達しており、懸垂は腕の筋肉も効果的に鍛えることができます。
特にチンアップ(逆手懸垂)の場合: 大胸筋と上腕二頭筋は、通常の懸垂よりもチンアップで有意に高い筋活動を示すことが確認されています。
上腕二頭筋の役割:
- 肘を曲げる動作の主動筋
- 腕の太さを作る重要な筋肉
- 懸垂での体の引き上げをサポート
3. 僧帽筋(トラピージアス)- 背中の厚みを作る
僧帽筋は上部・中部・下部に分かれており、懸垂では特に下部が活発に働きます。
メイヨークリニックの研究では、下部僧帽筋の活性化レベルは45-56%で、特に順手の懸垂で高い活動を示すことが明らかになっています。
僧帽筋の役割:
- 肩甲骨を安定させる
- 背中の厚みを作る
- 姿勢維持に重要









懸垂は肩甲骨を寄せながら行うことで、僧帽筋への刺激が増すウホ!ただ腕の力で上がるんじゃなくて、肩甲骨の動きを意識するのが大切ウホ!
4. 大胸筋(ペクトラリス・メジャー)- 意外な効果
「懸垂で胸の筋肉?」と驚くかもしれませんが、実は大胸筋も働いています。
メイヨークリニックの研究データによると、大胸筋の活性化レベルは44-57%で、特にチンアップ(逆手)で高い活動が見られます。
大胸筋の役割:
- 腕を体に引き寄せる動作
- 懸垂の初動をサポート
- 上半身全体の安定化
5. 腹直筋(レクタス・アブドミニス)- 体幹の安定
懸垂と代替プル運動を比較した研究では、腹直筋が最も活発に働く筋肉群の一つであることが示されています。
腹直筋の活性化レベルは31-35%で、体の揺れを抑えて安定した動作を維持する役割を果たしています。
腹直筋の効果:
- 体幹の安定化
- 腹筋の強化
- 効率的な力の伝達
6. その他の補助筋群
腕橈骨筋(ブラキオラディアリス): 前腕の筋肉で、グリップ力に重要
棘下筋(インフラスピナータス): 活性化レベル71-79%で、肩の安定性を保つ重要な筋肉です
脊柱起立筋: 活性化レベル39-41%で、姿勢維持と背骨の安定化に貢献します
握り方(グリップ)で変わる筋肉への効果






握り方を変えると効く筋肉も変わるウキ?どの握り方が一番効果的ウキ?









その通りウホ!握り方によって同じ懸垂でも筋肉の使われ方が変わるんだウホ。最新の研究でもそれが証明されているウホ!
順手(プロネイテッド・グリップ)- 通常の懸垂
手のひらが自分から離れる方向
ニュージーランドのマッセイ大学スポーツ運動学部のDickie博士らが2017年に実施した研究では、筋力トレーニング経験のある男性19名(平均24.9歳、身長178cm、体重81.3kg)を対象に、4種類の異なるグリップでの懸垂中の筋活動を筋電図で測定しました。その結果、順手の懸垂は中部僧帽筋のピーク筋活動が60.1%であるのに対し、ニュートラルグリップでは37.1%と、順手が有意に高いことが明らかになりました(効果量:Cohen’s d = 1.19、P = 0.004)。
主に鍛えられる筋肉:
- 広背筋(背中の幅)
- 下部僧帽筋
- 腕橈骨筋
おすすめの人:
- 背中の幅を広げたい方
- 標準的な懸垂をマスターしたい方
逆手(スピネイテッド・グリップ)- チンアップ
手のひらが自分に向く方向
メイヨークリニックの研究によると、チンアップは大胸筋と上腕二頭筋の活性化が通常の懸垂と比較して有意に高いことが確認されています。
主に鍛えられる筋肉:
- 広背筋
- 上腕二頭筋(より強く)
- 大胸筋
おすすめの人:
- 腕を太くしたい方
- 初心者(比較的やりやすい)
ニュートラルグリップ(パラレル)
手のひらが向かい合う方向
マッセイ大学の研究では、ニュートラルグリップは中部僧帽筋への負荷が順手と比較して低いものの、肩関節への負担が最も少ないグリップであることが示されています。
主に鍛えられる筋肉:
- 広背筋
- 上腕二頭筋
- 上腕筋
おすすめの人:
- 肩に不安がある方
- バランスよく鍛えたい方
ワイドグリップ
肩幅より広く握る
広背筋の上部により強い刺激を与えます。
効果:
- 背中の幅の最大化
- 上部広背筋の集中的な刺激
注意点: 難易度が高く、肩への負担も大きいため、基本の懸垂に慣れてから挑戦することをおすすめします。
懸垂の科学的に証明された効果


1. 上半身の複合的な筋力向上
懸垂は複数の筋肉群が連動して働く複合運動であり、運動パターンの分析から、下部僧帽筋と大胸筋から開始され、上腕二頭筋と広背筋で完了する連続的な筋活動が示されています。
複合運動のメリット:
- 一度に多くの筋肉を鍛えられる
- カロリー消費が高い
- 実用的な筋力の向上
- トレーニング効率が良い
2. 相対的筋力(体重比の強さ)の向上
懸垂は自分の体重を扱うため、相対的筋力が向上します。これは日常生活やスポーツパフォーマンスに直結する能力です。
実生活での効果:
- 重い荷物を持ち上げる力
- 登る動作の向上
- スポーツパフォーマンスの改善
3. 姿勢改善効果









現代人はスマホやパソコンで猫背になりがちウホ。懸垂で背中の筋肉を鍛えることで、自然と姿勢が良くなるウホ!肩こりや腰痛の予防にも効果的ウホ!
姿勢改善のメカニズム:
- 背中の筋肉が強化され、正しい姿勢を維持しやすくなる
- 肩甲骨周りの筋肉が活性化
- 前傾姿勢の改善
4. グリップ力(握力)の強化
懸垂では常にバーを握り続けるため、前腕の筋肉と握力が自然と鍛えられます。
握力向上の効果:
- 日常生活での作業効率向上
- 他のトレーニング効果の向上
- スポーツパフォーマンスの改善
初心者向け:懸垂ができない場合の段階的アプローチ








懸垂って難しくて1回もできないウキ…体重が重いから無理なのかなウキ?









大丈夫ウホ!最初から懸垂ができる人は少ないウホ。段階を踏んで練習すれば必ずできるようになるウホ!科学的にも効果的な代替エクササイズがあるウホ!
ステップ1:ラットプルダウン
ラットプルダウンと懸垂の筋活動パターンを比較した研究では、ラットプルダウンは懸垂の代替運動として有効であることが示されています。
実践方法:
- 体重の60-80%の重量から開始
- 正しいフォームを習得
- 徐々に重量を増やす
ステップ2:アシスト懸垂マシン
ジムにあるアシスト懸垂マシンを使用します。
実践方法:
- 大きなアシスト(体重の50-60%)から開始
- 徐々にアシストを減らす
- フォームを意識する
ステップ3:ネガティブ懸垂(降りる動作のみ)
ジャンプして上がった状態から、ゆっくり降りる練習をします。
実践方法:
- 台を使って懸垂の上の位置へ
- 5-10秒かけてゆっくり降りる
- 3-5回×3セットを目標に
ステップ4:補助付き懸垂
友人やトレーナーに足を支えてもらう、またはゴムバンドを使用します。
ゴムバンドの使い方:
- バーにバンドをかける
- バンドに膝または足を乗せる
- 補助を受けながら懸垂を実施
効果的な懸垂トレーニングプログラム


初心者向けプログラム(週2-3回)
第1-4週:基礎作り
- ラットプルダウン:10-12回×3セット
- ネガティブ懸垂:3-5回×3セット
- デッドハング(ぶら下がり):20-30秒×3セット
第5-8週:移行期
- アシスト懸垂:5-8回×3セット
- ネガティブ懸垂:5-7回×3セット
- 通常の懸垂:限界まで×2セット
中級者向けプログラム(週2-3回)
基本セット:
- 順手懸垂:8-10回×3セット
- 逆手懸垂:8-10回×3セット
- ニュートラルグリップ:限界まで×2セット
バリエーションの追加:
- ワイドグリップ:5-7回×3セット
- スロー懸垂(5秒上昇、5秒下降):3-5回×3セット









同じ筋群は48-72時間の休息が必要ウホ!懸垂の日と他の部位のトレーニングをうまく組み合わせることが大切ウホ。焦らず継続することが成功の鍵ウホ!
上級者向けプログラム(週2-3回)
強度アップバリエーション:
- 加重懸垂(ウェイトベルト使用):6-8回×4セット
- L字懸垂(足を前に伸ばす):5-7回×3セット
- タイプライター懸垂(左右に移動):各5回×3セット
- マッスルアップへの挑戦
懸垂で効果を最大化するための重要ポイント


正しいフォームの習得
基本姿勢:
- バーを肩幅程度で握る
- 肩甲骨を下げて安定させる
- 体幹に力を入れて体を安定させる
- 足は後ろで組むか、まっすぐ下に
動作のポイント:
- 肩甲骨から動かす意識
- 胸をバーに近づけるイメージ
- 反動を使わない
- フルレンジで動作する
呼吸法
- 上がる時:息を吐く
- 下がる時:息を吸う
- 自然な呼吸リズムを保つ
頻度と回復
推奨トレーニング頻度:
- 初心者:週2回
- 中級者:週2-3回
- 上級者:週3-4回(部位を分ける)
休息の重要性: 筋肉は休息中に成長します。十分な回復時間を確保しましょう。
よくある間違いと改善方法


間違い1:反動を使う






勢いをつけて体を振れば楽に上がれるウキ!









それは一番やっちゃいけないことウホ!反動を使うと筋肉への効果が減るだけじゃなく、肩や腰を痛めるリスクがあるウホ。ゆっくりコントロールした動作が大切ウホ!
改善方法:
- 回数を減らしても正しいフォームで
- 降りた時に完全に静止してから次の動作へ
- 筋力が足りない場合は補助を使う
間違い2:肩がすくんでいる
肩が耳に近づいている状態では、効果的に背中の筋肉を使えません。
改善方法:
- 肩甲骨を下げる意識
- デッドハングで肩の位置を確認
- 僧帽筋上部に力が入りすぎないように注意
間違い3:可動域が不十分
半分だけの動作では筋肉への刺激が不十分です。
改善方法:
- 腕を完全に伸ばした状態から開始
- 顎がバーの上に出るまで引き上げる
- 無理な場合は補助を使ってフルレンジで
懸垂の効果を高める補助トレーニング
1. デッドハング(ぶら下がり)
握力と肩の安定性を高めます。
実践方法:
- バーにぶら下がるだけ
- 30-60秒キープ
- 3-5セット
2. 斜め懸垂(インバーテッドロウ)
初心者におすすめの基礎トレーニングです。
実践方法:
- 低い位置のバーを使用
- 足を地面につけて斜めの姿勢
- 胸をバーに近づける
3. ダンベルロウ
広背筋を個別に鍛えることができます。
実践方法:
- ベンチに片手と片膝をつく
- ダンベルを引き上げる
- 10-12回×3セット
まとめ:懸垂で理想の上半身を手に入れよう
懸垂は上半身を効率的に鍛えられる最高のトレーニングの一つです。この記事で解説した科学的根拠に基づいた知識を活用して、効果的にトレーニングを進めていきましょう。
重要ポイントのおさらい:
- 主要な鍛えられる筋肉
- 広背筋(最も重要・活性化レベル117-130%)
- 上腕二頭筋(78-96%)
- 僧帽筋(45-56%)
- 大胸筋(44-57%)
- 腹直筋(31-35%)
- 握り方で効果が変わる
- 順手:背中の幅を重視・中部僧帽筋の活性化が高い
- 逆手:腕の筋肉も強化・大胸筋と上腕二頭筋の活性化が高い
- ニュートラル:肩に優しい
- 段階的なアプローチが大切
- ラットプルダウンから開始
- ネガティブ懸垂で筋力をつける
- 補助を使いながら通常の懸垂へ
- 正しいフォームの重要性
- 反動を使わない
- フルレンジで動作
- 肩甲骨の動きを意識









懸垂は最初は難しく感じるかもしれないけど、正しい方法で継続すれば必ずできるようになるウホ!メイヨークリニックやマッセイ大学などの科学的根拠に基づいたトレーニングで、効率的に理想の体を作っていくウホ。焦らず、楽しみながら続けることが一番大切ウホ!






よく分かったウキ!まずはラットプルダウンとネガティブ懸垂から始めて、いつか10回連続でできるようになるウキ!頑張るウキ〜!
懸垂をマスターすることで、機能的で美しい上半身を手に入れることができます。この記事で学んだ知識を活かして、あなたも理想の体づくりに挑戦してみてください。
参考文献
- Youdas JW, Amundson CL, Cicero KS, Hahn JJ, Harezlak DT, Hollman JH. (2010). “Surface Electromyographic Activation Patterns and Elbow Joint Motion During a Pull-Up, Chin-Up, or Perfect-Pullup™ Rotational Exercise.” Journal of Strength and Conditioning Research, 24(12): 3404-3414. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21068680/
- Dickie JA, Faulkner JA, Barnes MJ, Lark SD. (2017). “Electromyographic analysis of muscle activation during pull-up variations.” Journal of Electromyography and Kinesiology, 32: 30-36. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28011412/
- Snarr RL, Hallmark AV, Casey JC, Esco MR. (2017). “Electromyographical Comparison of a Traditional, Suspension Device, and Towel Pull-Up.” Journal of Human Kinetics, 58: 5-13. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28828073/
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